「転換期の学校教育」を探索する
日本学校教育学会 会長 原田信之(名古屋市立大学)
本年8月の年次大会において会長に就任いたしました原田信之でございます。本学会は、1985年9月15日に創設された伝統と実績のある学術学会です。しかし、歴史のある多くの学会において、会員層の高齢化が進んでいることに加え、近年、新しい学会の設立ラッシュが続いていることなどから、会員数の維持が難しくなってきています。そのような中、将来展望を持ちながら本学会を発展的に運営していかねばならないことの責務と巡り合わせを痛感しています。
コロナ感染症の蔓延は、学会の活動に大きな影響を及ぼしただけでなく、学校教育の常識や慣例、当たり前意識の転換をも迫りました。国際的動向に目を向けても、例えば、OECDのEducation2030でも、ニュー・ノーマル時代における学校や学習者のあるべき姿が模索されています。まさに「転換期の学校教育」の探索が、今求められているのです。
こうしたニュー・ノーマル時代の学校教育の姿を探索することは、本学会の使命でもあります。本学会の「発会宣言」(1985年)には、「現代の学校教育が抱える諸問題を凝視し、(中略)学校教育の諸現象を鋭角的・広角的に「記述」「説明」「予知」する総合的な新理論の構築を目指」すことが目標に掲げられていました。こうした創設の原点に立ち返り、理論と実践の往還的研究を大切にするという本学会のアイデンティティを確認しながら、研究推進員会、国際交流委員会、機関誌編集委員会、実践研究委員会、年報編集委員会、そして新たに設置された広報・デジタル委員会を日常活動の軸として研究活動を活性化させていければと願っています。